紙やすり
おでこを紙やすりで削られていた。
数人で押さえつけられて、動けないようにされ、血が滲むまでやられた。
さすがに教師が気づいて「なんだその傷は」と言った。
僕は、誰にやられましたなんて言えず(言ったらもっと痛い目にあうから)黙っていた。が、思わず泣いてしまった。
クラスには40人位の人間がいる。僕傷つけたのは5人。僕を抜いて34人が誰がやったか知っている。だけど言わない。
僕は39人に傷つけれたのと同じだ。
後日、わざと先生に気づかれるようにした、ということらしく、僕のいないところで僕の教科書が引き裂かれ、「死ね」と書いてあった。
卒業写真には39人が神妙な顔をしたり、笑ったりして映っている。
僕は言いたい。よく人間の顔をしていられるな、と。
でも不思議なんだ。誰一人、見つけられないんだ。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。